あとがき
今回、実際に私が組み立てたPCのパーツ構成などについてです。
パーツ構成について
今回(2007年1月末)、私が実際に組み立てたPCには、Core 2 Duo プロセッサ、インテル965シリーズチップセット搭載マザーボード、DDR2-800システムメモリ、SATA2(3G)のハードディスクなどを搭載しました。これに19"ワイド液晶モニタ、ワイヤレスのキーボードと光学マウスなども付けて16万円程度で収まりました。だからと言って、安物のパーツを選んだのでは無く、各パーツは信頼と定評があるメーカーの最新製品のラインアップから、自分の用途に合致するパーツを選びました。
既製品(メーカー製)の最新モデル(2007年2月現在)と単純に性能と価格を比較すると、同価格帯の既製品では有り得ない高性能さを見事に実現することができました。既製品のデスクトップPCでは、今尚シングルコアのCPU(既製品のミドルクラスの多くは、省スペースと省電力の実現のためにモバイル向けのCPUを搭載)と32ビットのOSが主流ですし、細部まで拘ったパーツ構成ではありません。私がパーツを購入したパーツショップの店員さん曰く、なるほどですね~。普通だったらこのパーツよりもこのパーツの方が良いですよ。とか言うところなのですが、全て非の打ち所が無いパーツを選んでおられるので、これがどうとかいうのはありませんよ。
という言葉からも、私の拘り具合が分かって頂けるのではないでしょうか。
以下は、今回私が自作したパーツ構成と既製品(メーカー製)及びBTOパソコンの同価格帯の最新機種(2007年春モデル)との性能比較です。
メーカー | CPU | メモリ | HDD | 光学ドライブ | GPU | OS (Windows Vista) | モニタ | 価格 |
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自作PC | Intel Core 2 Duo E6300 | DDR2-800 1GB | SATA2 320GB | DVDスーパーマルチ | GeForce7600GS | Home Premium (64bit) | 19型ワイド液晶 | 157,100円 |
ST社 | Intel Pentium 4 631 | DDR2 512MB | SATA 250GB | DVDスーパーマルチ | チップセットに統合 | Home Basic | 19型ワイド液晶 | 130,000円程度 |
F社 | AMD Sempron 3200+ | DDR2 512MB | SATA 300GB | DVDスーパーマルチ | チップセットに統合 | Home Basic | 17型液晶 | 165,000円程度 |
SN社 | Intel Celeron M 430 | DDR2 1GB | SATA 100GB | DVDスーパーマルチ | チップセットに統合 | Home Premium | 15.4型ワイド液晶(一体型) | 175,000円程度 |
H社 | Intel Celeron D 352 | DDR2 1GB | SATA 250GB | DVDスーパーマルチ | チップセットに統合 | Home Premium | 17型液晶(一体型) | 180,000円程度 |
N社 | Intel Celeron D 352 | DDR2 1GB | SATA 320GB | DVDスーパーマルチ | チップセットに統合 | Home Premium | 17型液晶 | 185,000円程度 |
Y社 BTO | Intel Celeron D 331 | DDR2 1GB | SATA 160GB | DVDスーパーマルチ | チップセットに統合 | Home Premium | 17型液晶 | 146,000円程度 |
D社 BTO | Intel Core 2 Duo E6300 | DDR2 1GB | SATA 320GB | DVDスーパーマルチ | チップセットに統合(Intel GMA X3000) | Home Premium | 19型液晶 | 188,000円程度 |
A社 BTO | Intel Core 2 Duo E6300 | DDR2 1GB | SATA 400GB | DVDスーパーマルチ | Radeon X1050 | Home Premium | 19型ワイド液晶 | 193,000円程度 |
上の性能比較表を一見すると、CPU以外の性能は同程度に見えますが、既製品とBTOのメモリクロック周波数やHDDなどの仕様の詳細は未調査です。性能を比較すると、CPUの性能は自作とBTOが圧倒的に勝っています。既製品だと高性能機種(20万円以上)でも Celeron D か Pentium 4 等のシングルコアのプロセッサが殆どです。既製品では最新のCPUを搭載してないことから、チップセットはそれ相応(恐らく、インテル945ファミリーやATI ラデオン エクスプレス 200シリーズ)だろうと予測できます。だとすると、チップセットのサポート範囲で、メモリ、HDD、GPUなどもある程度は予測ができます。つまり、細部に拘った自作の性能の方が勝っていることは間違いないでしょう(自作に用いたメモリとHDDについては、現時点で最新規格の製品です)。
既製品のパソコンには、多くのソフトウェアが付属しています。自分の用途に一切不必要でも費用には含まれています。自作やBTOパソコンならその分の無駄な費用を性能面の強化に充てることができるので、そういった費用の無駄を極力抑えることができます。即ち、既製品よりも高性能で自分の用途に合致したパソコン(各パーツの組み合わせ)を、既製品よりも安価に手に入れることができるという訳です。この点が自作やBTOパソコンの最大の強みです。更に、BTOパソコンと自作を比較すると、自作では工賃などの費用(数万円)を費やさずに済みます。
今回私が自作を行うきっかけになったのは、約7年も使い続けてきた愛用機が Windows Vista の発売を見計らったかのように危篤状態に陥ってしまったからなのですが、時期が時期だし、64ビット環境で64ビット版Vistaを導入しようと考え、このようなパーツ構成になりました。
一応、パーツ構成についての詳細等は、以下で以前掲載しています。
注釈
- 本文での Core 2 Duo プロセッサとは、デスクトップPC向けコア・開発コード名Conroeを指します。ノートPC向けコア・開発コード名Meromではありません。
- Windows Vista には、32ビット版と64ビット版があります。
- 私がパーツを購入した時点(2007年1月26日)では、Windows Vista は発売されていません。然しながら、時期的に Windows Vista を搭載した最新機種(2007年春モデル)を比較対象にしました。自作では、予約購入のVistaを搭載するのだから当然といえば当然?
パーツ構成
合計 | 110,840円 | ||
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製品名称 | 仕様 | 店頭価格 | |
CPU | Intel Core 2 Duo E6300 | 1.86GHz(x2)/FSB:1066MHz/L2:2MB | 23,980円 |
マザーボード | ASUS P5B | LGA775(QuadCore/Core2Duo対応)/Intel P965+ICH8/DDR2(800/667/533) x4/PCIe(x16) x1/PCIe(x1) x3/PCI x3/SATA(3G) [Southbridge]x4/[JMB363コントローラー] SATA(3G)x1, eSATA(3G)x1, ATA133 x1/GbLAN/USB2.0/HD8chAudio/ATX | 16,980円 |
メモリ | UMAX Castor LoDDR2-512-800 (2枚) | 1GB (DDR2-800/512MB(x2)/DualChannel) | 17,560円(8,780円x2) |
HDD | Seagate ST3320620AS | 容量320GB/回転数7200rpm/16MBキャッシュ/SerialATA2(3G) | 10,980円 |
光学ドライブ | PIONEER DVR-112DBK (BULK) | ATAPI内蔵型/DVD:+R(DL)10x/-R(DL)10x/±R18x/+RW8x/-RW6x/RAM12x CD:40x(CD-R)/32x(CD-RW)/40x(CD-ROM)/バルク品 | 5,580円 |
グラフィックボード | ASUS EN7600GS | GeForce7600GS/PCIe/GDDRⅡ256MB(128bit) | 11,980円 |
サウンドカード | Intel 8ch audio (onboard) | ||
ネットワークカード | Gigabit LAN (onboard) | ||
ケース | CENTURY CSI-3306GG | ATX/ミドルタワー/アルミニウム製/ベイ:5.25x5(3.5インチマウンタx1付属)、シャドウx6/W219xH436xD498mm | 10,800円 |
電源 | ACBel ATX-500CA-AB8FM | ATX電源/500W | 12,980円 |
合計 | 46,260円 | ||
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製品名称 | 仕様 | 店頭価格 | |
ディスプレイ | ACER AL1916WABD | 19インチワイド液晶モニタ/コントラスト比700:1/輝度300(cd/m2)/応答速度5ms | 26,800円 |
キーボード/マウス | Logicool Cordless Desktop EX110 | キーボード・光学マウスセット(PS/2・USB両対応/ワイヤレス) | 3,980円 |
OS | Windows Vista Home Premium 64bit DSP版 DVD-ROM/FDD セット | 64ビット版 | 15,480円 |
注釈
- 店頭価格は、パーツを購入する店舗(地域)や時期、チップ等の価格変動などによって異なります。
- OEM商品(DSP版)のWindowsを購入する際には、人質(バンドルするパーツ)が必要になります。人質は、一緒に購入するパーツ(プロセッサやメモリなど)が必要になるのですが、FDDが安価(1,000円程度)で一般的です。
性能
今回のパーツ構成を、Windows Vista の『Windows エクスペリエンス インデックス』にて評価した結果、π計算プログラム 「スーパーπ Ver 1.1」を使用した円周率πの計算記録です。
コンポーネント | 評価についての詳細 | サブスコア | 基本スコア |
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Windows Vista (TM) Home Premium (64bit) | |||
プロセッサ | 1秒あたりの計算 | 4.9 | 4.5 |
メモリ (RAM) | 1秒あたりのメモリ操作 | 4.5 | |
グラフィックス | Windows Aero のデスクトップ パフォーマンス | 4.7 | |
ゲーム用グラフィックス | 3Dビジネスおよびゲーム グラフィックス パフォーマンス | 4.8 | |
プライマリハードディスク | ディスクの転送速度 | 5.7 |
桁 | 1.6万桁 | 3.2万桁 | 6.5万桁 | 13万桁 | 26万桁 | 52万桁 | 104万桁 | 209万桁 | 419万桁 | 838万桁 | 1677万桁 | 3355万桁 |
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時間 | 00秒 | 00秒 | 01秒 | 02秒 | 05秒 | 13秒 | 30秒 | 1分09秒 | 2分34秒 | 5分36秒 | 12分21秒 | 26分40秒 |
注釈
- 今回のパーツ構成での評価は、Vistaを導入した直後に行った結果です。各種設定の変更やオーバークロックなどの性能の向上を一切行ってない状態での評価です。
- Windows エクスペリエンス インデックスについて、サブスコアは、コンピュータの各コンポーネントについての性能を表します。基本スコアは、システムの全体的な性能を表し、最も低いサブスコアで決まります(組み合わされたサブスコアの平均ではありません)。
- コンピュータのハードウェアおよびソフトウェアの構成や各種設定の変更により、ハードウェアの速度と性能が向上、或いは低下することでスコアの値は増減します。
Windows Vista の ヘルプとサポートでは、Windows エクスペリエンス インデックスの基本スコアについて次のように説明しています(一部抜粋)。
- 基本スコアが 1 または 2 のコンピュータには、オフィスの生産性向上アプリケーションの実行やインターネットの検索など、最も一般的なコンピューティング タスクを実行するための十分な性能が備わっています。ただし、この基本スコアのコンピュータは一般的に、Windows Aero や Windows Vista で利用可能な高度なマルチメディア エクスペリエンスを実行するための性能は不足しています。
- 基本スコアが 3 のコンピュータは、Windows Aero と Windows Vista の多くの新機能を基本レベルで実行できます。Windows Vista の新しい拡張機能の一部では、その機能性をすべて利用できない場合があります。たとえば、基本スコアが 3 のコンピュータでは、Windows Vista のテーマを 1280 × 1024 の解像度で表示できますが、複数モニタでのテーマの実行がうまくいかない場合があります。また、デジタル テレビのコンテンツは再生できますが、高精細テレビ (HDTV) のコンテンツの再生がうまいくいかない場合があります。
- 基本スコアが 4 または 5 のコンピュータでは、Windows Vista のすべての新機能を完全な機能状態で実行でき、マルチプレーヤーや 3D ゲーム、および HDTV コンテンツの録画や再生など、高性能でグラフィックを多用するエクスペリエンスをサポートすることができます。Windows Vista がリリースされたときは、基本スコア 5 のコンピュータが利用可能な最も高性能なコンピュータでした。
[引用: Windows Vista: ヘルプとサポート より]
- π計算プログラム 「スーパーπ」は、著作権者・東京大学金田研究室により公開されている、円周率πの計算を試すフリーソフトウェアです。
自作を検討中の方へ
今現在自作を検討中の方は、私の自作PCの構成を参考にすると良いと思います。また、予算が豊富で私の自作PCの構成を凌駕する高性能さ(クアッドコアのCPU、グラフィックボードの2枚差しなど)を追求したいならば、予算の上限は限がありません。然しながら、同程度の性能(Core 2 Duo 搭載モデル)をもっと安く!
とお思いならば、次の事を参考にされると良いと思います。
- マザーボードにグラフィック機能を搭載したチップセットを選び、グラフィックボードの購入資金を浮かす。但し、現時点での最新のオンボードグラフィック機能では、Windows エクスペリエンス インデックスでの2つのグラフィックスのサブスコアは、4未満のようです。オフィス中心の用途(文書作成、ウェブ閲覧やメール)ならば、それでも十分でしょう。
- マザーボードのチップセットを945シリーズ(Core 2 Duo 対応)にする。但し、マザーボードの将来性が犠牲になります。
- メモリをバルク品(JEDEC準拠品を推奨)にする。但し、動作が不安定であっても補償・返品はできません(バルクに限らず)。
- メモリ容量を減らす。但し、Windows Vistaの最小システム要件を満たすには、512MBのシステムメモリが必要になります。
- メモリの性能(メモリクロック周波数)を落とす。但し、メモリは上位互換なので、メモリの将来性が犠牲になります。
- HDDの容量を減らす。大容量が必要でなければ、最も無難です。
- 光学ドライブをCD-ROMにする。
- グラフィックボードの性能を落とす。但し、Windows Vistaの最小システム要件を満たすには、SVGAをサポートするグラフィック性能が必要になります。
- グラフィックボードを同シリーズのなるべく安価な製品にする。但し、あまりに安い製品を選ぶと地雷を踏む恐れがあるので要注意!
- 電源を400~450Wの程度の製品から選ぶ。将来の拡張性を犠牲にしますが、拡張しないならこれも良し。但し、安物の電源だと動作が不安定だったり、直ぐに故障することも有り得るので注意!
- パーツ毎に最安値のショップで購入する。但し、ショップによっては他店のパーツが原因でトラブルが生じた場合には、補償しない規定があるので初心者は要注意!
以上で(本体のみ)5,000円~30,000円程度は安く済ませることが可能だと思います。しかし、2~3年以上の長い目(パーツ個々の寿命と後々の出費)で考えた場合、性能面を落として予算を抑えるのは、私としてはお奨めできません。即必要でないならば、価格が下がるまでじっと我慢───。但し、待ち過ぎて購入時期を見逃さないように!
もしも、性能面を落とす場合には、自分の用途を十分に検討して、ショップの店員さんや自作に詳しい知人に相談した上でパーツを選択しましょう。また、最新の環境に拘らない(取り敢えずPCを自作したい)なら、廉価版のプロセッサを選ぶことで30,000円程度の予算から組むことも十分可能です。勿論この場合にも、自分の用途を十分に検討した上でパーツを選びましょう。
アレも コレも ほしがるなよ
[引用: 相田みつを・日めくりカレンダー より]