2025-05-13
私にとって忘れられない5月13日という日
本日5月13日は、私の母方祖母の9回忌です。
生前祖母は、私の事を物凄く可愛がり大切にし、沢山の思い出を与えてくれました。先日ブログに載せたボリショイサーカスも幼少期に祖母が連れて行ってくれました。5月13日はそんな祖母の命日なのですが、祖母が亡くなってから各種手続きの為に役所で戸籍や除籍の謄本を取得して5月13日は祖母が祖父と入籍した日だと知り、先に他界した祖父と入籍した日に逝く…そんな事もあるんだと驚きました。
うちは父方も母方も代々福岡の家系なのですが、この母方祖母の言葉遣いが父方とも周囲のご老人等とも明らかに違う言葉遣いでした。母方祖母より年上の父方祖父は旧帝国陸軍将校(若い頃には昭和天皇の近衛を務めた話しも聞いた事がある)だったこともあり標準語にちょっと博多弁が混じった感じでそこまでコテコテではなく、父方祖母も祖父の様な感じでした。祖父は詩吟もやっており、箸と橋と端のアクセントや鼻濁音の使い方などにはうるさかったです。一応、父方祖父には生前に福岡の侍言葉(候[そろ]等)を教えてもらってはいましたが、がっしゃい言葉嫌い(祖父が友人と喧嘩した時に「アイツはがしゃがしゃ五月蠅い!」と漏らしていた事があるw)で普段の言葉遣いは博多弁でしたし山笠好きでした。
だから母方祖母の言葉遣いは父方とも違いちょっと古めかしく品がある言葉遣いだとは昔から感じてはいましたが、生前は特に方言を気にした事はありませんでした。しかし、母方祖母が亡くなってから方言の大切さに目覚めました。祖母が使っていたあの言葉の意味は何だったのかな…といった些細な疑問からです。
母方祖母は、日常会話から御座る言葉やがっしゃい言葉も使っていました。祖母の友人にもがっしゃい言葉を使う方がいて(祖母と同年代の男性なのでその方も現在はもう夜空のお星様かも…)、祖母はその方にそんな言葉はもう誰も使っていないし恥ずかしいから”使いなさんな”という話しをしていたのを聞いた事がありますが、そう言っていた祖母が使っていました(笑)祖母が田舎者だと誤解されそうなので言っておきますが、一応祖母は筑女→香蘭卒で福岡天神のファッション業界に居たハイカラ(死語)な人です。方言に興味を持って調べる様になってから、私自身も無意識のうちに幼少期からがっしゃい言葉を使っている事に気付きました(苦笑)父方はほぼ一般的な博多弁と遜色ないので、母方祖母からちゃんと受け継いでいた訳ですね。そんなこんなで家では母との会話でのみ祖母が使っていた言葉を使います。勿論、私の祖父や父親(戦前戦後の福岡市中央区)の言葉遣いも私は受け継いでいますが、父の世代では御座る言葉やがっしゃい言葉は使いませんし、父が子供の頃には「遣(つか)あさい」さえも近所(福岡市中央区)では使う人は珍しかったという話しです。
福岡市の人口は今では160万人を超えましたが、殆どが他所からの移住者ですし、福岡弁話者は今ではその1%も存在しないでしょうね…。それだけ、福岡弁の御座る言葉やがっしゃい言葉は貴重な方言なのです。
今となり振り返ると、私自身、高校時代に学校は福岡市内でしたが田川などの筑豊や筑後から通学する生徒もおり、同級生に私の(福岡弁の)言葉遣いが生意気だとか気に入らないと陰口を叩かれたり、女子から”キザ”だと面と向かって言われた事もあり封印を決意し、学校では意識して博多弁に寄せた言葉遣いをする様になった過去がある事すらも忘ていました。特に福岡弁特有の「ぜぇ」や「さぁ」は関東の方言と共通するのですが(明治期の書物にも福岡弁と博多弁の違いとして載っています)、キザや生意気ぶって使っていた訳ではないのですがね…(泣)
昨今では、福岡県内の方言を一括りに総称して福岡弁と呼ぶことがありますが、福岡には歴とした福岡弁という方言が存在しており、それ以外を指して福岡弁と呼ぶのは固有名詞の誤用なので間違いなのです。福岡の若者がよく方言ではため口、敬語を話す時は標準語(共通語)になるという人がいますが、福岡弁だと逆です。バカ丁寧な敬語を使おうとして「○○さんは御座っしゃいますか?」(いらっしゃいますかの意味)などと共通語ではない言葉(方言)が出てしまう事があります。
明治維新後の『廃藩置県』により、福岡藩が福岡県になりました。現在の福岡県の県境になったのは明治9年頃です。文化や歴史、方言が異なる地域(豊前国や筑後国の旧廃藩置県)が福岡県に統合されて今の福岡県が形作られました。ですから、福岡県の方言を総称して福岡弁と呼ぶのは間違いなのです。明治維新後、福岡城の枡形門が取り壊され景色が一変して福岡と博多の町が自由に往来できる様になると、現在の福岡市や近隣には、誰もが親しみ易い博多弁が広く浸透しました。特に先の大戦による空襲の被害は甚大でそれも影響した様で、戦後の今では先祖が旧福岡藩士の家でも代を重ねて博多弁が浸透してしまい、福岡弁は先祖が福岡藩士だった家の一部で受け継がれている程度となり今となっては消滅危機の方言だと、SNSで知り合った福岡藩士について詳しい博物館の研究員の方からもお話しを伺いました。
改めて、福岡弁を後世に残す為にも、近いうちにコンテンツを立ち上げる予定でいます。その前に、現在進行中のかしわめし弁当の博多編を掲載してからになりますが、ちょっと他事をしておりそちらも遅れますが、予定は必ず実行致します(汗)
追記(5/14):ところで、私のアメブロの”今日のアクセス数”が普段では考えられない数字なのは何故でしょうか?😅
追記(5/28):アクセス数の謎が解けました。NHKで現在放送中の朝ドラ「あんぱん」の5/14放送の中で博多弁の「青竹割ってへこにかく」という言葉が登場して話題になったみたいです(「へこにかく」って? 朝ドラ「あんぱん」で博多弁と鮎川誠とラーメンが話題に)。どうやらこの言葉の意味を調べる為に検索して私のブログがヒットして数日間アクセス数が伸びていたみたいですね。