2008-12-21

「和時計・電脳式自鳴鐘」の製作状況の報告!~其の弐~

先月01日に製作発表を行った「和時計わどけい現代版電脳全自動式万年自鳴鐘げんだいばんでんのうぜんじどうしきまんねんじめいしょう(仮称)」(以下、本作)の製作状況の続報です(前回の経過報告は先月21日をご覧下さい)。

・・・とその前に、これまでの仮称・「和時計わどけい現代版電脳全自動式万年自鳴鐘げんだいばんでんのうぜんじどうしきまんねんじめいしょう」では長過ぎるので、「和時計・電脳式自鳴鐘」と短縮しました。

さて、製作状況ですが、作業は順調に進んでいます・・が、今月に入り作業時間が激減・・・。歳末、年始と作業が殆ど進まないでしょうから、当初予定していた本年度中にβ版を公開することはやっぱり無理です。β版を期待していた方・・なんて居るのか分かりませんが、申し訳ございません。

既に告知している本作一番の目玉機能とも言える「昼夜の長さが毎日刻々と変化する現代版モード」と「江戸時代の和時計を再現して二十四節気ごとに変化する江戸時代版モード」、及び「定時法モード」についてですが、機能をより細かにし、設定により「定時法」か「不定時法」を選択でき、不定時法ではとき」の変化の仕方を、「毎日」、「二十四節気」、「手動」の三種類の中から選択できる様に変更しました。具体的には、この設定を「毎日」にすると昼夜の長さが毎日刻々と変化し、「二十四節気」にすると二十四節気ごとに昼夜の長さが変化します。そして、それに付随する最重要要素である明け暮れの六つ時の決め方も設定することができ、「太陽の伏角が7度21分40秒になる時刻(江戸後期)」、「太陽の出没時刻から百刻法で二刻半(現在の36分)前後(江戸中期)」、「太陽の出没時刻(室町末期以降~江戸初期)」の中から選ぶことができます。勿論、太陽の位置計算の為に必要な場所(経緯度と標高等)の設定も行えます。また、「手動」にて明け暮れの六つ時の時刻を任意の時刻に指定することもできます。設定次第で天保暦以前の不定時法の時刻制度にも柔軟に対応できる仕様になっているかと思います。

そして、表示方法についてですが、デジタル(文字表示)とアナログ(文字盤表示)の二方式を切り替えて利用できる予定だと前回報告致しましたが、二種類だけだと後々物足りなさを覚えるだろうと考え「外観(スキン)選択機能」を搭載することにしました。現在はこの機能の設計を行っている最中です。これにより、後で好みの外観ファイルの追加・選択が自由に行えます。一応、付属の外観ファイルとして「デジタル」と「アナログ」の二種類の外観を同梱する予定です。他にも、「鐘撞堂(時報)機能」も搭載していますので、お気に入りのお寺の鐘の声を用意して「鐘撞堂機能」で設定し、現存する実物の和時計の写真を基に文字盤の部品を作成して「外観機能」でそれを選べば、より一層江戸情緒を満喫できること請け合いです。実物の画像や音声については、何方か著作権者からの許可や協力による無償提供でもあれば・・って甘い考えですね・・・。

さてさて、漸く開発中の画面のスナップを公開できる状態になりました。次の画像は、現在開発中の画面です。この画面の外観はアナログ式での表示です。外観がアナログ式の場合には、選択した外観ファイルによらず、設定にて文字盤の方式を「等間隔(二丁天符による遅速調整)」と「割駒式文字盤」の二種類から選択することができます。但し、定時法の場合には、等間隔のみです(というか、割駒式文字盤を設定しても、時刻の配置が等間隔になるので無意味だし・・・)。

不定時法・二挺天符式
画像1:実寸大のアナログ外観(デスクトップ上)

文字盤の時刻表示は固定だが、明け暮れの六つ時に遅速の調節を行う二挺天符式を再現!

不定時法・割駒式
画像2:実寸大のアナログ外観(デスクトップ上)

時針の進む速度は常に一定でも文字盤の時刻が動く仕組みの割駒式を再現したプログラムは、恐らく史上初!?

割駒式なら、昼間(卯~申辰刻)と夜間(酉~寅辰刻)とでどちらが長いかが一目瞭然。

定時法
画像3:実寸大のアナログ外観(デスクトップ上)

この画像は、古来より使われていた定時法の表示だが、明治5年(1872年)11月9日に公布された太政官布告(317号)に対応した「時」と「辰刻」の始まりを同じとする文字盤に設定することも可能。

上の画像は何れも、文字盤の内側から「時(時報の数)」と「十二支」、外周の目盛りが「十二辰刻法の一辰刻を四等分した刻(初刻~四刻)」を表し、時針が不定時法では子二刻五分(真夜九ツ)ごろ、定時法では子四刻五分(真夜九ツ)ごろを指し示しています(何れも現時法で同時刻ごろ)。

注釈

  • 和時計の表示内容は、昼夜の九~四ツ時を表す「時」、「十二辰刻法」の時刻(十二支で表す「辰刻」、一辰刻を四等分した「刻」、一辰刻を四等分した刻を更に十等分した「」、及び、一辰刻を「上・中・下刻」と三等分した刻(三等分した刻は、不定時法のみ))。「五更法」の時刻(五つの「更」、更にそれを五等分した「点」)(五更法は、定時法のみ)。また、「二十四節気」なども知ることが出来ます。
  • 和時計の表示内容は外観ファイルや設定により異なります。
  • デスクトップ上での表示サイズは外観ファイルで指定されるサイズ(外観ファイルを構成する画像のサイズ)により異なります。
  • 画面は開発中のものです。完成版では、外観や機能等も含めた仕様の一部、また全てが変更になる場合があります。
  • 完成版(製品版)のソフト種別をフリーウェア、シェアウェアのどちらにするかは未定です。つまり、価格は未定です。

現段階では、時針が回転して時を指し示す一般的な和時計のみを再現していますが、現存する和時計の最高傑作と言われる田中久重作の「万年自鳴鐘」(嘉永4(1851)年に製作)の様に、時針は固定で文字盤が回転する特殊な方式も十分再現可能なので、今後の作業次第では機能を更に追加するかも知れません。

最後に、本作に対するご要望や製作者である私への激励(?)のメッセージなどは掲示板にて受け付けております。然しながら、完成するまでは僅かな時間でも製作作業に充てたく考えておりますので、現時点で書き込みに対する返信を求められる事はご容赦ください。