2004-02-11
百聞は一見にしかず
先日私は、視覚障害者の方のお宅を訪問する機会がありました。一日お邪魔して様々なお話をお伺いすると共に、実際に様々なことを目の当たりにすることができました。
視覚障害者とウェブの実状
HTMLは、身体的な限界を持つ人々に対してウェブページをよりアクセスしやすくできるよう設計されています。また、Web Content Accessibility Guidelines 1.0 では、どのようにすればウェブコンテンツが障害のある人にとってアクセシブルになるのかという説明があります。
しかし、ほとんどのウェブページは、障壁(というより根本的な間違い)だらけのまま今尚垂れ流されているのが現実です。
表でレイアウト
例えば、今尚多く氾濫している表でレイアウトされたウェブページは、音声読み上げの際に混乱を招きかねません。また、弱視者に限らず、表示文字サイズをもの凄く製作者の想定以上に大きくして利用している場合もあるのです。
HTML本来の構造(情報は常に上から下へ流れる自然な構成)にするべきです。また、どうしても表を用いることがある場合には、表を線形化しても意味が通じるようにマークアップしなければならない。
注釈
表の線形化は、単純に表に関するタグを除去することで確認ができます。また、私が配布している HTML Killer を使用して簡単に確認することもできます。
デフォルトはstrict
推奨しない要素や属性を用いたマークアップもすべきではありません。推奨しないものの殆どは、物理的(視覚的)な表現の為のものです。ですから視覚的な表現を行う場合には、スタイルシートを用いてするべきでしょう。また、要素本来の用法の無視、例えば、字下げ目的でblockquote
要素で印すなどもっての外です。
現在最も有名且つ普及している HTML 4.01 のデフォルトの厳密型DTDは、strictです。これには、推奨しない要素や属性を含みません。また、推奨しないものの殆どは、HTMLをXMLのアプリケーションとして再定式化したXHTMLでは廃止されています。推奨しない要素や属性は、他の要素やスタイルシートで同じ効果を表現することができます。
スタイルシートの使用は、HTMLのマーク付けを簡素化し、製作者の負担を軽減する働きもあります。また、利用者がユーザスタイルシートを使用して読み易い表現に変更することを容易にします。
装置に依存しない
妥当なマークアップも去る事ながら、異なる複数の装置(メディアタイプ)の為のスタイルシート記述を行うことに満足をしてはいけません。メディアタイプ指定(HTMLのmedia
属性やCSSの@media
規則)は、単に各メディアタイプがどんな装置を対象とすることになっているかを示すにすぎません。例えば、視覚障害者が PC Talker(Windowsを音声にて利用できるソフトウェア)を導入している環境下でMsIEを使用している場合もあります。この場合、対象はscreen指定ですから、auralが必ずしも視覚障害者の為のスタイルシートにはなり得ません。
また、スタイルシートで表示文字サイズを固定にするなど持っての外です。如何なる環境でも利用できるスタイルシートの記述をするべきでしょう。
視覚障害者の環境を体験する
私が今回お伺いした、Windowsを使用している視覚障害者(弱視)の方と同様の設定です。是非、皆さんも一度体験してみてください。
- 画面のプロパティーの設定
- デザインタブより、配色をハイコントラスト黒(特大のフォント)に設定。
- 効果タブより、視覚効果で大きいアイコンを使用するを有効に設定。
- 設定タブより、画面の領域を640×480ピクセルに設定。
- 設定の変更後に再起動します。
- インターネットオプションの設定
- 色の設定より、Windows色を使用を有効に設定。
- ユーザ補助の設定で書式設定の全てを有効に設定。
- 設定を完了します。
- ブラウザの設定
- ブラウザの表示文字サイズを最大に設定。
更に音声読み上げを体験してみたい方は、PC Talker を導入するのは無理でも、IBM Homepage Reader の体験版や無償配布されているVE2000をご利用されるのも良いと思います。