2011-01-23

二挺天符式和時計を組み立てた!

先日、「大人の科学マガジン(vol.28)」を購入しました。この本には、二挺天符式和時計が付録として収録されていたので、思わず購入しちゃいました。

説明書(ふろくの組み立て方と使い方)は、プラモデルと違い部品は番号ではなく名称で指示してあるので、聞きなれない名称だとちょっと戸惑ってしまいます。図と同じ部品をどれだどれだ・・・と箱から探しながら、ゆっくり組み立てて1時間弱で完成しました。私は工作が得意な方だし、時計や和時計に関する知識も多少なりあるので難しくありませんでしたが、そうではない人でもそう難しくないと思います。一応、説明書に組み立て所要時間は1時間30分と書いてあるし、対象年齢10歳以上ですから・・・。

付録の和時計はプラスチック製で、調速には二挺天符、動力にはぜんまいを用いています。本物との違いは、プラスチック製であることだけで、ほぼ完璧に江戸時代の和時計を再現しています。今まで有りそうで無かった和時計の組み立てキットが付録で付いて定価2,940円(税込み)、お手ごろな価格だと思います。しかも、毎号パーツが1つ付いてくるのではなくて1冊だけ購入すれば良いですし。(笑)

さて、二挺天符式の和時計というものは、2本の棒天符(昼夜別々に2本の棒天符を設けて昼夜で異なる天符に切り替え)により、時計が進む速度を調節します。明け暮れの六ツ時に天符の切り替えを自動的に行いますが、季節による時間の変化への対応は、二十四節気ごとに錘の位置を手動で調節する必要があります。付録の和時計もその方式を再現しているので、天符の調整がちょっと面倒臭いですが、その面倒臭さが最高に良い・・これぞ二挺天符式の醍醐味だなぁ~と感じました。

付録の和時計の調整は、説明書に記載の方法を参考にすると良いですが、計算が苦手な人には向きません(苦笑)。そこで、私なりの大雑把な調整法を伝授します。

  1. 先ずは、おおよそで良いので、昼夜両方の天符とも天符が「カチッ、コチッ・・・」と毎秒動く錘の位置を探り(中心より8cm前後)、その位置に錘をずらします。その錘の位置で指針が24時間で一周します。昼夜の長さは、春分を境に昼が夜より長くなり、夏至で一年で最も昼が長い日、秋分で昼夜の長さが等しくなり、冬至で昼が一番短くなる。つまり、昼が短いなら昼用天符の錘をそれより内側に、昼が長いなら昼用天符の錘をそれより外側にずらして調整する必要があります。夜用天符も同様に調整する必要があります。
  2. 時刻の基準は、夜明けと日暮れ。おおよそ太陽の出没時刻の36分前(後)が六つ時、太陽の位置が南中になる時が九つ時(午)になる。明け暮れの六つ時、もしくは南中の時刻ごろに針と天符の切り替えをそろえます。今が明け(暮れ)の六つ時なら和時計の針が明け(暮れ)の六つを針が指す位置に、南中の時なら真昼九つ時(午)を針が指す位置に時刻を進めます。説明書に記載の方法に従って、がんぎ車と天符のつめを傷めないように注意して行ってください。
  3. 続いて、今の季節ならこの辺りかな?と天符の錘の位置を大雑把に調整します。
  4. ふろく和時計の時刻が次の六つか九つ時を指す時か、実際の夜明け/日暮れか南中の時刻になった時に再度調整を行います。時刻の進み具合が実際の時刻より進んでいるようなら錘を外側に、遅れているようなら錘を内側に移動して調整を行います。勿論、この時に時刻が狂っていたら、針と天符の切り替えをそろえます。
  5. 大雑把で良いので時刻の調整ができたら、次からの調整は二十四節気ごとに行います。

調速(天符の錘位置)の調整は、なにも正確な計算をせずとも、適当な感覚で調整してこそ江戸庶民的な使い方だとも言えるので、このくらいかな?という大雑把な調整で良いと思います。

注釈

  • 上記の方法は、明け暮れの六つ時、もしくは南中の時刻に調整を行います。

ところで、昨年4月に改良の為に一時公開を停止した「和時計 ~電脳式自鳴鐘~」ですが、実は昨年の4~5月頃に改訂版が完成していたのですが・・暇がなくて公開を先送りしていました。その後、改良箇所にちょっとしたバグを発見した為、その修正を必要としましたが・・暇がなくて作業を中断していました。漸く作業再開の目途が立ちましたので、近日中に作業を再開して早ければ今月中、遅くても来月中には公開できればと考えています。

今回、大人の科学マガジン(vol.28)の付録・二挺天符式和時計を組み立ててみて、和時計 ~電脳式自鳴鐘~のように誰でも簡単に設定できて正確な時を刻むデジタル思考の和時計ではなく、もっとアナログ思考で・・天符の錘の位置を調整しないといけない面倒臭さが味わえるのも良いかも?と思いました。暇があれば、そんな機能も盛り込んでみようかな。。。暇があればの話しなので期待しないで下さい・・・。