シリーズ総覧

「斬」各シリーズ毎のソフトウェアの情報についてです。

シリーズ情報

古いデータは、一部忘却している箇所があります。

斬シリーズの情報

ソフトウェアについて、各列は、タイトル、開発元、発売元、発売日、対応機種(又は、対応OS)、価格、及び備考を示した表。

題名開発元発売元発売日対応機種価格備考
斬 ~陽炎の時代~ アナログWOLF TEAM1989年9月PC-9801シリーズ
斬 ~陽炎の時代~ デジタルWOLF TEAM1989年11月PC-9801シリーズ
斬 ~陽炎の時代~WOLF TEAM1989年12月PC-9801/X68000/J31009,800円
斬 シナリオ Vl.1WOLF TEAM1989年12月PC-9801/X68000/J31004,200円
斬 シナリオ Vl.1 デジタルWOLF TEAM1989年12月PC-9801シリーズ
斬 シナリオ Vl.2WOLF TEAM1990年2月PC-9801/X68000/J31004,200円
斬 シナリオ Vl.2 デジタルWOLF TEAM1990年2月PC-9801シリーズ
斬 PU アナログWOLF TEAM1990年5月PC-9801シリーズ
斬 ~夜叉円舞曲~WOLF TEAM1990年8月PC-8800シリーズ
斬 GEARWOLF TEAM1990年10月23日GG3,800円
斬 ~陽炎の時代~WOLF TEAMTAITO1991年SCD-ROM
斬 ~夜叉円舞曲~WOLF TEAM1991年3月PC-9801シリーズ
斬 ~夜叉円舞曲~WOLF TEAM1991年3月29日MD8,500円
斬Ⅱ ~陽炎の時代~WOLF TEAM1991年10月PC-9801シリーズ
斬Ⅱ シナリオコレクションWOLF TEAM1992年1月PC-9801シリーズ
斬ⅡWOLF TEAM1992年4月FM-TOWNS
斬Ⅱ スピリッツWOLF TEAM1992年5月29日SFC
斬Ⅱ 総集編WOLF TEAM1992年12月PC-9801シリーズ
斬Ⅲ ~天運我にあり~WOLF TEAM1993年12月PC-9801シリーズ
斬Ⅲ ~天運我にあり~WOLF TEAM1994年2月DOS/V
斬Ⅲ シナリオコレクションWOLF TEAM1994年2月PC-9801シリーズ
斬Ⅲ タウンズスペシャルWOLF TEAM1994年3月FM-TOWNS
斬Ⅲ スピリッツWOLF TEAMTELENET1994年3月11日SFC

注釈

  • WOLF TEAMウルフチームとは、かつて日本に存在した伝説のゲーム開発者集団。元々はTELENET日本テレネットの開発チームだったが1987年に独立、後に日本テレネットの100%子会社(1990年7月)となる。1995年12月に「テイルズオブファンタジア」(販売元はナムコ)を開発の際に、開発条件などで限界を感じたスタッフ達が退職し事実上の解散となった。
  • ボーステック株式会社が運営するオンラインサービス「Soft-City.com」では、1980年代のパソコンゲームを販売するプロジェクト「Project EGG」にて、PC-9801版「斬」のダウンロード販売(2004年3月19日)がされています。

関連商品

サウンドトラック

斬の各種CDについて、各列は、タイトル、発売元、販売元、発売日、税込価格を示した表。

題名発売元販売元発売日価格
斬 陽炎の時代TOSHIBA EMI1990年3月21日

総評

SCD-ROM版 斬 ~陽炎かげろう時代ときは、他の戦国SLGと比較すると随分と簡素なシステムになっている。例えば、戦国SLGの最大の醍醐味である合戦は、同時期に発売された戦国SLGの多くが合戦マップ上で武将の駒を一つ一つ動かして戦闘を行っていたのに対し、野戦ならば12ラウンド以内(攻守交互にコマンド入力)、攻城戦ならば3つのコマンド(強襲、包囲、待機)選択で勝敗が決する。何もかもが素朴で物足りなげに思えそうだが、この素朴さが最大のウリ(他の戦国ゲームでは有り得なかった画期的さ)だろう。合戦での寝返りや討ち死に率の高さも他に類を見ないし、そして何と言ってもBGMが妙に心地良い。素朴なのに劇的な作品になっていると言えるでしょう。

シナリオは全部で7本用意され、戦国中世以外にも太平記(1333年~)や有名武将総出演の架空シナリオ・陽炎の時代も満喫できる。慣れてしまえば一時間程で全国統一ができるので、気軽に何度も繰り返し遊べてしまう。また、最大5人で同時プレイが可能。誰でも直ぐに馴染める簡単なシステムなので、戦国SLGを一度もプレイしたことがない入門者から上級者まで幅広い層が楽しめる作りになっている。

MD版 斬 ~夜叉円舞曲やしゃえんぶきょくは、呪術・宝物・結界などのシステムが導入され、戦国SLGとしては異色のゲームといえる。その異色さの根源は物語設定にあり、織田信長が死魔神の忠実な部下の魔物『麗鬼』に乗り移られたことで魔空という勢力が誕生し、千年もの昔から死魔神の降臨を妨げ続けてきた『夜叉』と呼ばれる人々はあらゆる地方・身分・職業に散らばり死魔神の復活を監視し続け、魔空でも夜叉でもない中立の存在の中間陣営の武将達もまた結束を固め、中間陣営として他の2陣営に敵対しているという設定は、もはや戦国SLGというよりはファンタジーSLGと呼んだ方が相応しいかも知れません。

シナリオは3本あり(各シナリオで陣営選択が可能)、ゲームの目的は、プレイヤーが選択した陣営(魔空陣営、夜叉陣営、中間陣営)によって異なる。魔空陣営の目的は全国を征服して死魔神を復活させること。夜叉陣営の目的は乱世を鎮め、蝦夷に封印されている死魔神を放逐すること。中間陣営の目的も全国を統一することです。戦国ヲタから戦国SLGと聞いただけで拒絶してしまう人でも十分に楽しめるゲームだと思います。

SFC版 斬Ⅱ&Ⅲは、「陽炎の時代」や「夜叉円舞曲」とは異なり、正統派戦国SLGに仕上がっています(ⅢはⅡの改良版と言った感じ)。然しながら、そこは流石のウルフチーム。この2作品にも他の戦国SLGとは一線を画する要素をキッチリと盛り込んでいます。

シナリオは、Ⅱは4本、Ⅲは2本あります。斬Ⅱ&Ⅲ共に全国にいる武将の中から1人選ぶことができ、Ⅲではオリジナル武将を三人(親子・兄弟といった血縁関係)まで作ることができます。ゲーム目的はあくまで全国統一なのですが、武将にはそれぞれ、大名、一門(大名と血縁関係にある武将)、重臣、寄騎、浪人といった身分があり、大名で単独での全国統一、家臣として盟主に仕えたり、一生浪人で戦国時代を生き抜くこともできます。勿論、豊臣秀吉の如く浪人から大名まで上り詰めて全国制覇をすることだって可能です。

パソコン版の「斬Ⅱ 陽炎の時代」は、当時刊行されていたパソコンゲーム誌「ログイン」にて売り上げランキング1位を獲得しています。戦国SLGと言えば、システムソフトの「天下統一」と光栄の「信長の野望」が好みや人気を二分していますが、斬新な発想を盛り込んだ「斬」は紛れも無い名作シリーズのひとつだと思います。